抗うつ薬による性欲減退
目次 抗うつ薬による性機能障害で悩んでいる方へ まずは主治医へ打ち明けてください 対策1:様子を見る 対策2:減薬する 対策3: 飲み方を工夫する 対策4:改善の可能性のある薬を追加する 対策5: 別の抗うつ薬に切り替える |
抗うつ薬による性機能障害で悩んでいる方へ
抗うつ薬、特にSSRIのパキシルやジェイゾロフトでは、70~80%の人に性欲減退、勃起 (覚醒) 障害、オルガスム障害などの性機能障害の副作用があります。ここでは、抗うつ薬で性機能障害が引き起こしたときの対策について、考えていきたいと思います。

まずは主治医へ打ち明けてください
抗うつ薬は基本的に長期服用になる薬です。常に副作用に苦しむのはつらいですし、セックスは本能やパートナーとの関係に影響を与える可能性があるため、無視してはならない問題です。言いにくいとは思いますが、悩んでいる方は主治医に打ち明けてください。 治療方針にも影響がありますし、何より納得してお薬を続けていただきたいのです。その上で、どのような対策があるのか、お伝えしたいと思います。
対策1:様子を見る
性機能障害については、人によって見解が異なります。 副作用はそれほど気にならないと言う人もいれば、自分自身の問題であり、パートナーとの関係に大きな障害になってしまっているという人いるはずです。性的問題は本能的なものなので無視することはできませんが、しばらくは許容できる範囲だという場合は、様子を見ていくのも方法です。半年程度で30~45%の人が改善するという報告もあります。
抗うつ薬の服用による性機能障害は、お薬を飲んでいる間だけの一時的なものです。これが原因で性機能が損なわれる心配はありませんので、生活や精神的に大きな支障がない場合は様子を見てみましょう。
対策2:減薬する
症状が安定しており、抗うつ薬の減量しても問題がない状態でしたら、徐々に減薬してみるのも一つの方法です。 もちろん、医師と相談の上で行ってください。しかし、減薬したからといって、必ず副作用なくなるという明確な証拠はありません。 特に性欲減退の副作用は、少し減らしただけで大きく変わらないというのが多い印象です。勃起不全や射精障害の方に関しては、改善することがあります。
対策3: 飲み方を工夫する
薬の影響を最小限に抑えるという意味では、セックスの後に服用する、朝食後に服用するなど、飲み方を工夫する方法もあります。お薬は服用後、しばらくすると血中濃度がピークがやってきて、効果や副作用が最も強くなります。 そして徐々にその影響は薄れていきます。
そのため、性交時には血中濃度が低下するように服用時間を調整するようにしてください。
ただし、これに関しても、勃起不全や射精障害のある方には効果があるかもしれませんが、性欲減退は改善しないことが多いです。 性機能障害は、情緒反応も大きな影響があります。「工夫をしたから大丈夫」という心持ちになれる方もいれば、「意識しすぎてしまう」という心持ちになる方もいらっしゃいます。
対策4:改善の可能性のある薬を追加する
抗うつ薬の中でも、セロトニン2A受容体をブロックする鎮静系抗うつ薬(リフレックス/レメロン、テトラミド、レスリン/デシレル)は性機能障害を起こしにくく、これらの薬に追加するとまれに性機能障害が起こり、性機能障害が改善することがあります。この方法は、薬剤の追加に他の利点がある場合に検討します。 たとえば、眠りにつくのが難しいときには、これらの薬はより深く眠るのに役立ちます。 総合的に見て抗うつ薬の効果を向上したほうが良い場合も、検討する価値があります。
また、さまざまな薬の研究をまとめた報告書では、「抗うつ剤での男性の勃起障害にED治療薬が有効」とされています。 バイアグラやシアリス、レビトラなどの薬です。本当に困っている人には、処方も検討します。
対策5: 別の抗うつ薬に切り替える
これまでにお伝えしたやり方で対応できない場合は、性機能障害の少ない抗うつ薬に切り替えることを検討します。お薬を変えることで改善がみられる人が多いです。SSRIの中では、ルボックス/デプロメールやレクサプロは性機能障害の副作用が比較的少ない選択肢に入ります。性欲低下や勃起障害がみられる方ではレクサプロ、オーガズム障害がみられる方にはルボックス/デプロメールがよいと思われます。
NaSSA(リフレックス/レメロン)も性機能障害の副作用も少ないです。 ただし、眠気や体重増加などの副作用はSSRIよりも強く、デメリットにもしっかりと考慮するが必要です。